先日、大学の学長も経験されたS先生とお話しする機会がありました。
その際、発展途上のある国で子供たちに世界的なプロサッカー選手が指導するという
ドキュメンタリー番組を見て、感動したという話をうかがいました。
どんなことですか、とお聞きすると、
「いゃあ、教えない指導と言うんだよね。子供たちに一々ああしろ、こうしろとは言わない。
壁にぶつかったとしても自分たちに考えさせる。
そうすることで、子供たちは大きく伸びていというんだ。
してみると僕たち日本の教育は、教えすぎているのかも知れないね。」
同感でした。自分の頭で真剣に考えたことでないと、なかなか身につかないものです。
教室でも、試験前になって基本的なことが入ってない生徒を見つけることがよくあります。
そんなときに思うのは、最初に今まで違った問題に遭遇したときに、
この子はどのように頭を使ったのだろうかということです。
本来なら、今までのやり方では解けないとき、
「どうしたらいいの?」
「どうしてそんな風になるの?」との思いが頭に浮かぶはずで、
その経験の痕跡は残っていて、やり方は忘れたとしても、
「確か、なんか違う方法があったよね」
「テキストのこの辺にあったはず」となるはずなのです。
しかし、そうならないのは、教えられたとおり数字や文字を動かしていただけだからでしょう。
家庭教師や個別指導のように安易に教えていたら身につかないのです。
だからと言って、私の場合一切教えないという訳ではありません。
新しいことは終える必要がありますし、難しい問題には、解き方のヒントを与えます。
一から十まで教わるより、自分の力で解けた方が絶対楽しいし、自信にもなります。
やる気とは、そんなところから生まれてくるものだと思います。