福岡県立高校の志願倍率…推薦入試の影響で、一般入試は軒並み高い競争率。

ここ数年間で、高校入試の形が大きく変わってきました。全国的には少子化傾向で高校入試の競争率は低くなっているのが普通ですが、東区や糟屋郡が属する福岡県第4学区では、人口の増加もあってか、この間高校入試の競争率は高止まりしたままです。

単純計算でも区域内中3生の人数に対して、公立高校の定員枠は約半分しかありませんので、仮に全員が公立高校を受験すれば、競争率は約2倍になるわけです。

ただ、そうならないのは、私立高校が早めに生徒を「囲い込む」専願入試を実施し、年毎にその定員枠を拡大してきたからです。

専願入試では合格したら他の高校は受験しないとの約束で、見返りに合格ラインを低めに設定されています。受験勉強を回避し、早めに「楽に」なりたい学力下位層の生徒にとってはうれしいシステムです。

この影響で公立高校の全受験者が減少し、合格偏差値が比較的下位の学校や郡部の学校の中には、定員割れをするところも出てきました。

そこで、私立の専願入試に対して公立高校側が打った手が、「特色化選抜」という、推薦入試から校長の推薦状を必要としない方式の選抜法の実施です。つまり公立版の学力試験なしの「専願」入試です。しかも私立の専願入試よりも前の日程で実施されています。

発表された今年の特色化選抜と推薦入試の合格内定者の数を見ると、学校によってばらつきがありますが、第4学区の公立高校全部では約半数に上ります。その分一般入試の定員枠は縮小され、競争は厳しくなってくるわけです。

例えば、香住丘の英語科の場合、定員40名に対して65%の26名もの推薦合格者を出したため、残り定員はわずか14名となっています。

つまり、推薦入試などの合格内定者数の増加によって、一般入試の定員枠が狭まり、より厳しい競争になるということです。来年度以降もこの傾向は続くかと思います。

競争率が厳しくなったといっても、特色化選抜にすれば、試験もなく楽じゃないか、と思われるかもしれませんが、そこにはまた別のハードルがあります。その件は次回に。