大谷選手を育てた指導者に学ぶ

朝日新聞の11月17日朝刊に、メジャーリーガーの大谷翔平選手や、
菊池雄星選手らが輩出した花巻東高校野球部の
佐々木洋監督の話が紹介され、 興味深く読みました。

 

「私は盆栽が趣味なのですが、指導者の仕事と似ています。
盆栽は若木のときに枝に針金をつけて方向付けます。
すると、ある程度かたちが整って価値を増して輝く。
必要であれば針金を掛けたり、時には外したりする。
器を変えれば、根が大きく張って、幹も太くなる。
環境を整えて、子どもたちの意識を変えて意欲を促していくということです」

「子どもの才能を開花させるにはこうした強制が必要なタイミングがあります。
その点で、最近の教育は放任や自主性の重視に偏り過ぎているように感じます。」

 

これは、勉強を教えていてもいつも感じることです。
数学のノートの書き方など、
ほとんどの生徒は強制しないと出来るようになりません。
暗算せずに、一行ずつしっかり書いて行けば、
間違っても、すぐに確かめることができますし、

何よりも、AならばBである、
といった論理性が身につきますから、
初めて遭遇するような問題に出会っても、
切り抜ける力が育っていくという効果もあります。

大手進学塾から移ってきた生徒たちに特徴的なことがあります。
素質はあるのに、ノートの書き方が身についていない為に、
正解まで到達しないという点です。

もっとも、これは生徒本人の責任というより、
「授業」というシステムの問題点です。
説明を聞きながらノートをとるのは、とても難しいものです。
ていねいにノートを書いていたら、
先生の説明はいつの間にか次の内容に進んでしまいますからね。
学校でも塾でも、授業では全員の生徒が書き終わるまで
待っているわけにはいきません。
必然的に理解不十分な生徒を半数以上作ってしまうのです。

「もっとも、まったく強制を必要としないタイプもいるのでそこは難しいのですが……」
これは、勉強の方は簡単です。
どんどん先に行かせればいいのですから。


また、こんな言葉もありました。
「指導によってすごい選手を生み出すことは難しいが、
だめにしてしまうのはたやすいと思う。」
これは、残念ながら教育界でも、
多くの進学校で起こっていることです。
難しい入試をくぐってきた優秀な生徒たちの多くが
必ずしも期待されたほど伸びていないのは残念なことです。
概ね、本人の不勉強のせいにされていますが、
もっと個人別の対応が出来れば、
何とかなるのではないかと、
塾屋としてはいつも思いますね。